1 住民税申告不要制度の申し出を行わない場合(確定申告のままにした場合)
〇 例えば、年齢70歳、単身。特定口座(源泉徴収あり)
昨年、今年と2年連続で確定申告。
一昨年は、年金収入200万円(=雑所得80万円)。株式譲渡損失250万円。
昨年は、年金収入200万円(=雑所得80万円)。株式譲渡所得260万円。
(注)年金収入は雑所得に分類され、公的年金等控除120万円が適用されます。
〇 介護保険料は合計所得金額をもとに計算されますが、合計所得金額は、繰越控除前の金額です。繰越控除が適用されません。
したがって、上記のケースの合計所得金額は、
一昨年が雑所得のみの80万円、
昨年が雑所得80万円+株式譲渡所得260万円の340万円
〇 介護保険料は、合計所得金額をもとに所得段階別に決められています。
第1段段階から第3段階は、世帯全員が住民税非課税。
第4段段階から第5段階は、本人が住民税非課税で、世帯員が住民税課税
本人が住民税課税の場合、その合計所得金額によって、下記の東京都S区の場合では第6段階から第14段階にランク付けされ、その段階によって、介護保険料が決まる仕組みです。市町村によって、ランクの設定、ランク毎の介護保険料は異なります。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/zei/kaigo/hokenryo/1014597.html
〇 以上を前提に介護保険料を計算します。
一昨年の合計所得金額が80万円でしたので、第6段階に分類され、昨年の介護保険料は年額78,600円となります。
昨年の合計所得金額は340万円ですので、第9段階に分類され、今年の介護保険料は年額120,000円となります。前年比41,400円増です。
〇 介護保険の自己負担割合は、合計所得金額および年金収入に応じて1割・2割・3割のいずれかになります。
https://www.my-kaigo.com/pub/carers/laws/laws_burden/flowchart.html
昨年は、合計所得金額が160万円未満の80万円でしたので1割負担でした。
今年は、合計所得金額が340万円、年金収入+その他の合計所得金額が460万円でしたので、負担割合は3割になります。
すなわち、自己負担割合は、1割から3割へと上がります。
2.住民税申告不要制度の申し出後はどうなるか
この制度は、住民税、国民健康保険、介護保険の税金や保険料および自己負担割合に関して、確定申告がなかったもの、すなわち、源泉分離課税とみなして計算してくれる制度です。
昨年の合計所得金額は、一昨年と同じく80万円になり、その金額をもとに介護保険料および自己負担割合が決まります。
したがって、住民税申告不要制度を使えば、今年も、介護保険料および自己負担割合は変わりません。ただし、住民税還付金もありません。