〇 日本でも、5月14日に、39県において緊急事態宣言解除が行われ、経済活動を再開する動きが始まっています。
とはいえ、経済活動再開により、感染が再拡大し、再び、活動制限に追い込まれる可能性があります。
〇 そのため、経済活動を再開しつつ、国民の生命を守るための戦略、すなわち、
「命と経済」両立戦略が必要とされる状況にあります。
〇 コロナの特徴
若年者の多くは、感染しても無症状か軽症ですんでいますが、
高齢者や基礎疾患のある人は、重症化・死亡するケースが多く、死亡者の8割は高齢者等です。
厚労省発表の年齢別陽性者数・死亡者数(5月6日現在)
致死率= 死亡者数 ÷ 陽性者数
年齢階級 陽性者数 死亡者数 致死率 死亡者割合
人 人 % %
10代未満 253 0 0.0 0.0
10代 356 0 0.0 0.0
20代 2446 0(注) 0.0 0.0
30代 2257 2 0.1 0.5
40代 2431 8 0.3 2.1
50代 2546 16 0.6 4.1
60代 1736 42 2.4 10.9
70代 1490 100 6.7 25.8
80代以上 1513 219 14.5 56.6
調査中・不明 272 0 0.0 0.0
合計 15300 387 2.5 100.0
(注)現在、厚労省は、年齢階級別資料を公開していません。
なお、5月13日、糖尿病の基礎疾患のあった28歳の力士が死亡していますが、上記の表には含まれていません。
5月18日時点では、陽性者16305名、死者数749名、致死率4.6%
〇 戦略の目標
コロナは、パンデミックであり、一定の死亡者が出ることは覚悟せねばなりません。
現時点で、すでに、700名以上の死亡者が出ており、経済活動再開により、死亡者数が増加することは避けられませんが、コロナ対策実施により、
死亡者数を減らすことが、「命と経済」両立戦略の目標であると考えます。
〇 経済活動再開後の対コロナ対策
死亡者数を減らすためには、死亡者の大半を占める高齢者および基礎疾患のある人を感染させないことに焦点をあてて、考えるべきです。
すなわち、若年者は、職場や学校において、ソーシャルディスタンスを確保しつつ、経済社会活動を再開するのですが、その一方で、
・ 高齢者、基礎疾患のある人は、外出制限を続ける。
・ 若年者は、高齢者等との接触を回避する。
・ 高齢者等が集まる医療機関、高齢者施設における感染防止対策を強化する。
以上の対策により、高齢者等をコロナ感染から守り、死亡者数を減らすことができると思います。
〇 医療崩壊を防ぐ対策も同じことです
高齢者や基礎疾患のある人は、重症化・死亡する可能性が高いということで、感染即入院となります。その後、重症化することも多く、集中治療室の大半は高齢者等で埋まっています。
医療従事者の負担軽減、医療崩壊回避のためにも、高齢者等を感染させないことが重要です。
〇 すなわち、「命と経済」両立戦略における対コロナ基本戦略とは、
医療崩壊を防ぎ、死亡者数を減らすため、高齢者等を感染させないことです。
高齢者は、うつらないように自己防衛。
若年者は、高齢者にうつさないように気をつける。
おじいちゃんおばあちゃんと孫は、今、一緒にいてはいけない。
ところで、この「命と経済」両立戦略の肝心なところは、
死亡者が、一定程度でることを認めた上で、目標を死亡者数の減少(死亡率を下げる)としている点ですが、
これまで、このようなことを主張した人を知りませんでしたので、少々、心配でしたが、
この点に関して、大変、勇気づけられる記事を見つけましたので、紹介します。
Newsweek日本版、5月15日配信の記事「『生ぬるい』新型コロナ対応がうまくいっている不思議」によれば、
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200515-00010006-newsweek-int
「(日本政府)当局者たちは感染拡大が始まった当初、検査対象を『入院が必要になる可能性が高い重症患者』に絞り、感染で死亡する人の数を減らすことを全体目標に掲げた。
世界保健機関(WHO)西太平洋地域の元事務局長で、日本政府の同ウイルス対策専門家会議の副座長を務める尾身茂は、2月半ば、『感染拡大のスピードを抑え、死亡率を下げることがこの戦略の目標だ』と言っていた。」
記者が、尾身氏の発言をそう解釈したということであって、尾身氏発言の真偽や真意のほどはわかりません。
テレビでよく拝見する尾身氏の言動からは、記事の発言は、余りにもかけ離れており、私自身、半信半疑ではありますが、参考までに引用させていただきました。