〇 コロナが、通常のインフルエンザに比べて怖く感じるのは、感染した場合の致死率が高いためです。
社会全体としてみれば、コロナの怖さとは、多くの死者がでることです。
〇 コロナ対策の最終目標は、死亡者数の抑制であるべきです。
感染者数の抑制は、死亡者数を抑制するための中間目標です。
それが、あたかも最終目標であるかのようになっているのが現状です。
〇 ところで、コロナの特徴は、死亡者の大半が高齢者や基礎疾患を持つ人ということです。
厚労省が発表した年齢階級別感染者数死亡者数(5月6日現在)によれば
感染者数(人) 死亡者数(人) 致死率(%)
10代未満 253 0 0.0
10代 356 0 0.0
20代 2446 0 0.0
30代 2257 2 0.1
40代 2431 8 0.3
50代 2546 16 0.6
60代 1736 42 2.4
70代以上 3003 319 10.6
30歳未満の致死率は0%です。(注)
30-50代の働き盛りの年代の致死率は、0.4%です。
一方、70代以上の致死率は10.6%と、若年層に比べ圧倒的に高いです。
死者数の80%は、70代以上の高齢者です。
(注)5月13日、28歳の力士がコロナで死亡しましたが、糖尿病の持病がある「基礎疾患のある人」でした。
〇 4月7日に緊急事態宣言が出され、1か月以上が経過しましたが、経済社会活動をいつまでも止めるわけにもいきません。
外出制限を続けていると、コロナでは死なないかもしれませんが、飢え死にしてしまいます。
コロナは、ワクチンが開発されるまで続く長期戦です。そのワクチンの実用化は、早くても来年です。
〇 というわけで、すでに39県で緊急事態宣言が解除されており、残る8都道府県でも、外出制限を緩和する動きが出ています。
〇 緊急事態宣言下では、政府の掲げた目標は、新規感染者数を抑制することでした。
期間中、感染者数の伸びは鈍化しましたが、死亡者数は増加を続け、致死率は上昇しました。
緊急事態宣言は、5月4日に延長されましたが、現時点と比較しますと、
5月 4日時点の累計感染者数は15057人、累計死亡者数は510名でしたが、
5月20日時点の累計感染者数は16385人、累計死亡者数は771名でした。
この間、感染者数は8.8%増と抑制されていましたが、死亡者数は、1.5倍に増加していました。
致死率は、3.4%から4.7%に上昇していました。
〇 感染者数は抑制できても、死亡者数が抑制できていません。
感染者数に目を奪われている間に、死亡者数は増加していたのです。
緊急事態宣言解除後は、コロナ対策の最終目標は、本来の死亡者数の抑制とすべきです。
感染即死ならば、どちらでも同じことなのでしょうが、感染者の2割強にすぎない70歳以上の高齢者が死亡者の8割強を占めているのです。同じにはなりません。
〇 緊急事態宣言解除後は、最終目標を死亡者数の抑制とすべきです。
そして、そのための基本戦略を考えねばなりませんが、
私は、基本戦略は、致死率の高い高齢者等を感染させない、ことだと思います。
その基本戦略下における、具体的な行動指針としては、
・ 致死率の低い若年層は、ソーシャルディスタンスを守りつつ、学び、働く。
その一方で、
・ 致死率の高い高齢者や基礎疾患をもつ者は、外出制限を守る。
・ 若年層は高齢者等との接触を回避する。特に、高齢者施設を訪問しない。
〇 また、医療崩壊を防がねばなりません
医療崩壊は、致死率の上昇につながります。
高齢者等が感染すれば、重症化する可能性が高いため即入院であり、入院後、重症化すれば集中治療室行きです。
医療機関のベッド、特に集中治療室は、高齢者が、その多くを占めています。
重症化率の高い高齢者等を感染させないことが、医療崩壊を防ぐ基本的対策です。
〇 医療崩壊を回避し、死亡者数を抑制するためにも、重症化率・致死率の高い高齢者等を感染させないことが重要です。
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