〇 8月20日付Forbes Japan記事「スウェーデンで医療崩壊が起きなかった理由 現地日本人医師の考察」によれば、
「(現地日本人医師)宮川博士は、スウェーデン・カロリンスカ大学病院・泌尿器外科勤務の医師で日本泌尿器科学会専門医であり、スウェーデン泌尿器科専門医(スウェーデン移住は2007年)だ。
カロリンスカ大学病院はスウェーデンで最多の感染者、犠牲者を出したストックホルムにあり、国内で最多の感染者治療を行なった医療機関である。ピーク時には、宮川医師も、感染者の治療を担当。
〇 スウェーデンでは、「感染のピークにおいて、医療崩壊を回避すること」が最も大きな政策の柱であった。
感染の拡大が最も著しくなった4月よりも前に、ICUの病床数は2倍に増床され、多くの一般病棟が感染病棟となった。
ストックホルムの国際会議場には、野戦病院が設営され(結局、使用されることはなかったが)、600床のベッドが用意された。
〇 大病院の役割分担が行われ、新型コロナ治療にあたる病院が、例えばストックホルム県ではカロリンスカ大学病院の他3病院と決められた。
予定手術や治療は、可能な限り新型コロナ感染症治療を行わない病院へ委託された。カロリンスカ大学病院では、ICUのベッド数は5倍近くまで拡張された。
重症者は、地方自治体の枠を超えて、地方からストックホルムへ搬送された。
ICU治療は、救える命を救うという方針により、80歳以下で基礎疾患のない患者は入室できるという基準が示されたが、ICUが満床となったことはなかったこともあり、個々の症例に関しては現場医師の判断に任されていた。
しかし、感染者が重症化し、ICU治療が必要となった場合、通常の疾患よりも遥かに長い期間のICU治療が必要となるために、常に十分な空きベッドがないと、救える命も救えない状況になってしまうため、感染収束が見えていない状況では、ICUの入室制限は必要なことであった。
〇 治療に当たるスタッフも、配置換えや各種ボランティア、医学部最終学年の学生の動員や、休職状態にあるスカンジナビア航空のキャビンアテンダントを再教育し労働力をシフトするなど、多様でフレキシブルな対応がなされた。
また、ICUへ配置換えするスタッフへのインセンテイブとして、通常の220%の給与を保証した。結果として、ICUが満床になることもなく、医療崩壊は起きなかった。」
事前の準備、明確な方針があれば、医療崩壊は起きない、ということのようです。
(参考)
#コロナ、スウェーデン、ロックダウンしなかった国の今 - コロナ時代の株式投資