〇 1月23日付日経記事「コロナワクチン普及に不透明感 日本、出足の遅れ響く」によれば、
「(前略)
なぜここまで滞っているのか。
発端は新型コロナの感染拡大が本格化した昨年4月に遡る。ワクチン開発で先行する米ファイザーは国際共同治験を開始した。治験は原則は国ごとの実施だが、複数の国で共同実施することもできる。国ごとの実施より精度は落ちる一方で、スピードは速められる。
ファイザーは治験の対象国に米国やドイツ、ブラジル、南アフリカなどを選び日本をはじめアジアは入れなかった。理由は明らかにされていないが、日本は感染者数が相対的に少なかったため治験にふさわしくないと判断されたもようだ。
結果的に共同治験のデータを利用しやすい欧米がワクチンの承認で先行した。共同治験の対象にならず出足で遅れた日本や韓国は今も接種を始められていない。枠組みに入らなかった時点で将来のワクチン供給に遅れが出る事態は想像できたはずだが、特別な対策に動いた形跡はない。
厚生労働省所管で審査を担当する医薬品医療機器総合機構は9月になり、国内のワクチン承認には日本人の治験が必要とする指針を決定した。
ファイザーは共同治験から半年遅れの10月に日本でも治験を始めた。
日本は2月下旬にまず医療従事者への接種開始をめざす青写真を描いたが、昨年末時点ではファイザーとの契約は基本合意止まりだった。まだ正式契約に至っていないと知った官邸は厚労省への不満を募らせ、ワシントンの日本大使館に直接、ファイザー米国本社と交渉するよう指示した。
ワクチン接種に向けた主導役として官邸が河野太郎氏を据えた2日後の20日になって、日本はようやくファイザーとワクチン供給で正式契約を結んだ。従来の基本合意では6月までに1億2000万回分(6000万人分)の供給を受ける内容だったはずだが、正式契約では年内に1億4400万回(7200万人分)に変わった。分量は増えたが接種スケジュールが先送りになる可能性は否定できない。(中略)
ファイザーより早く日本で治験を始めたアストラゼネカは、まだ日本で承認申請を出していない。3月までに3000万回分とする契約にもとづく供給のスケジュールは遅れる可能性がある。
モデルナは21日にようやく日本で治験を始めたばかりだ。(中略)
感染収束のカギを握る円滑な接種拡大に向け、国がワクチン調達の明確な見通しを示すことは不可欠だ。」
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