〇 7月17日付日経新聞記事「五輪感染検査、実効性に課題 不正防止策に限界も」によれば、
「(前略)
五輪・パラには200超の国・地域から選手約1万5千人が参加する。感染対策の規則集「プレーブック」は両大会共通で、選手団は入国後に原則、毎日検査を受ける。
選手村滞在時は唾液による抗原定量検査を受け、五輪・パラを通じて数十万回に上る。
大会組織委員会などは当初、数日ごとの検査を想定していた。変異ウイルスの流行を受け対応を強めた。選手は毎日朝か夕に検体を提出し、およそ12時間で結果が出る。
陽性なら同じ検体でPCR検査を受ける。陽性だった場合、選手村内の発熱外来で確定診断のため鼻咽頭PCR検査を受ける。感染が判明すれば、軽症や無症状者は組織委が確保した隔離施設へ移す。入院が必要なら東京都内の病院に運ぶ。
プレーブックは選手の行動範囲を宿泊先と競技会場、練習会場に限定している。繁華街などでの飲食は規則違反で、こうした行動で濃厚接触者となれば競技に参加できなくなる。
濃厚接触者となっても違反行為がなかった場合、試合開始前約6時間以内にPCR検査を受け、陰性が確認されれば出場を認める。
選手や行動を共にするコーチら以外の関係者は、選手との接触度合いに応じて検査頻度を「毎日」「4日ごと」「7日ごと」に設定した。
接触頻度が高い審判や国際競技団体(IF)の役員らは、選手同様に毎日検査を受ける。取材などで選手とやり取りする可能性があるメディアやスポンサーらは、4日ごとに受検する。
検査は主に唾液PCRで実施し、パラ期間を含めて計約130万回の実施を見込む。
宿泊先などで検体を採取し、43の競技会場など大会施設、一部はホテルや郵送でも回収する。陽性なら組織や団体ごとに任命する「コロナ対策責任者(CLO)」を通じ、鼻咽頭の検査を受けられる医療機関を紹介して受診してもらう。(中略)
不正を防ぐ仕組みも万全ではない。唾液検体を使う検査は直前に歯磨きや飲食をすると精度が落ちるとされる。検体採取は1人ででき、他人のものとのすり替えも可能だ。組織委は選手以外の関係者にも抜き打ち検査を実施する方針だが、全員を対象にするのは困難だ。
実質的に選手らの検査を管理するのは各団体などのCLOとなる。組織委関係者は「CLO頼みの側面は否めない」と認める。そのうえで「とにかく頻繁に検査を実施し、(感染が疑われる関係者を)早期にあぶり出す」という。