〇 9月30日付産経新聞記事「大阪「第5波」死亡率0・2% 早期治療が奏功」によれば、
「(前略)
全国的に医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した感染「第5波」で、大阪府は早期治療の方針を徹底。
病床不足により「医療崩壊」に至った第4波と比べ、患者の平均入院日数は3日程度短縮し、2・8%だった死亡率は0・2%に減少した。
府は3月1日~6月20日の第4波で自宅療養者が医療を受けられずに相次いで亡くなった経験を踏まえ、6月21日以降の第5波に際し、①確保病床と宿泊療養施設の拡充②重症化を防ぐ抗体カクテル療法による早期治療を重視した。
①について、第4波で最大365床を確保した重症病床は605床に増床。軽症・中等症病床は第4波から500床以上増やして2866床、宿泊療養施設の部屋数は第4波の2倍超の8408室とした。
第5波の9月1日に府内の1日あたりの新規感染者数は3千人を超え、第4波ピークの2・4倍に。軽症・中等症病床の使用率は8月30日に最高90・0%まで上昇した一方、重症病床の方のピークは47・4%(9月8日)にとどまった。
背景に②の方針がある。府は中等症以上の患者を入院とし、重症化リスクがある軽症患者らについて抗体カクテル療法を導入した宿泊療養施設に入所させた。
業務が逼迫しがちな保健所を介さず、陽性判明後、同療法を投与できる病院に速やかに案内するなど初期対応を強化した。
第4波の途中から高齢者らへのワクチン接種が進んだこともあり、第4波で3・2%だった重症化率は第5波の9月24日時点で1・0%に低下。死亡率は第4波の2・8%から同日時点で0・2%に下がった。
患者を取り巻く状況も改善している。9月15日時点の平均入院日数は軽症・中等症病床が9・5日で、第4波の12・9日から3日以上短縮。重症病床も同様の傾向だった。
搬送先が決まるまで一時待機する「入院患者待機ステーション」の平均滞在時間は、第4波の5分の1にあたる1時間59分になった。
府幹部は「第5波では医療・療養態勢を充実させた上で、早期治療により重症化を防ぐ認識を医療機関と共有し、病床の回転率を高めることができた」と分析する。
感染状況と医療提供体制は改善しているが、9月30日時点の入院中の重症者は126人に上る。吉村洋文知事は「病床の逼迫は改善傾向にあるが、決して安心できる状況ではない。入院患者を減らすことが重要だ。府民には警戒した上での行動をお願いしたい」と呼びかけた。」
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