〇 4月17日付日経新聞記事「塩野義コロナ薬、早期承認難航 「緊急承認」の可能性も」によれば、
「塩野義製薬が開発する新型コロナウイルス感染症の飲み薬の早期承認が難航している。国産初の軽症者向け飲み薬との期待がある一方、治験で十分な有効性を示せていないとの見方がある。有効性を完全に確認できていなくても使用を認める緊急承認制度が5月にも新設される見通しで、この制度の活用も視野に入る。
塩野義は2月25日に「条件付き早期承認制度」の適用を求めて承認申請した。まもなく2カ月経過するが、医薬品の承認を議論する厚生労働省の部会での審議は見通せない。18日にも部会が開かれるが、塩野義製は審議事項に入らなかった。
薬の有効性が十分に確認できていないことが最大のネックだ。申請時に提出した治験データでは投与後にウイルス量を減少させる効果が確認された。ただ症状の改善効果は統計的に意味のある差を示せなかった。
政府内には「ウイルス量が減ったとしても、症状改善の効果をしっかりと確認する必要がある」との声があがる。現状では早期承認制度の適用は難しいとの見方がある。
そこで浮上するのが、今国会で審議中の医薬品医療機器法(薬機法)改正案に盛り込まれた「緊急承認」の枠組みを使うことだ。近く衆院を通過し、5月の成立が見込まれる。緊急承認制度はすぐに施行される見通しで、5月以降に第1弾として塩野義製に適用する可能性がある。
新制度は有効性が「推定」されれば承認できる。「条件付き早期承認よりハードルが低くなる」(厚労省幹部)。承認は2年程度の期限が設定され、期限内に有効性を確認できなければ取り消される。
塩野義製を巡っては、動物実験で胎児に奇形を生じさせるリスクが明らかになった。同社は13日、同リスクは申請時の資料に含まれているとして「承認審査の可否に影響を与えるものではない」との声明を出した。」
(関連記事)