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#中国コロナ 上海市、「四月之声」。日本語訳で全文紹介

〇 4月27日付クーリエ・ジャポン記事「ロックダウンの上海を伝える動画『四月之声』はなぜこんなにも話題になるのか」によれば、

新型コロナウイルス変異株「オミクロン」の感染者拡大で、3月28日から事実上のロックダウン(都市閉鎖)が続いている中国・上海市。今の上海の混乱を浮き彫りにする「声」の短編動画が、急速に拡散され、そして急速に削除されている。

 

【動画】『四月之声』はこちら

ロックダウンの上海を伝える動画『四月之声』はなぜこんなにも話題になるのか | 中国ニュース拾い読み | クーリエ・ジャポン

 

生の「声」だけを演出せずにつなげる

 4月22日夕方、上海市の自宅で軟禁状態にある人民の怒りや悲しみ、絶望の肉声や、コロナ対応に右往左往する政府当局者の音声を記録した6分間の短編動画『四月之声』が突如アップロードされ、瞬時に拡散した。

 

 『四月之声』は「法律違反の内容」を理由に、当局によって即・削除されたが、人民たちは他のチャットアプリや動画共有ソフト、QRコードを駆使するなどして検閲に引っかかりにくい方法を駆使し拡散を続けている。拡散、削除、拡散、削除の不毛なイタチゴッコが続く。

 

 ドローンで空撮された上海市街の映像を背景に、3月中旬から4月下旬にかけてのコロナに関する「声」を集め、字幕を付けた動画だ。強権的な「ゼロコロナ」政策に翻弄される人民の、差し迫った肉声が記録されている。『四月之声』が心を揺さぶるのは、記録された電話や記者会見の音声だけを再録し、真実を淡々と示して、演出も批評もしていないからだ。

 

 作者のCaryは、上海で生まれ育ち、自身もロックダウン下の生活を送っているということ以外、性別も年齢も職業も明かしていない。だが、CaryのSNSのアカウントが封鎖されたため、4月24日早朝、「当局によってCaryが連行された」とのうわさがネットに広まった。

 

 Caryは同日「私も家族も安全に暮らしている。いかなる官憲も来訪していない。当局から協力せよとの要請があれば積極的に応じる」とのコメントを発表した。

 

『四月之声』日本語訳で全文紹介

3月15日:上海市人民政府のコロナ関連会見

「現在、上海市はロックダウンをしておらず、ロックダウンをする必要もない。現時点での感染状況に鑑み、われわれはエリアごとに……」

 

3月26日:上海市人民政府のコロナ関連会見

「われわれも3~5日間、いっそ1週間程度はロックダウンをしたほうがいいのでは?」

「それはできない」

「なぜできないのですか?」

「上海はわれわれだけのものではなく、中国の社会経済において重要な役割を担っている。われわれ上海の全人民がこのような大局的見地からの考えを持つべきだ」

 

4月1日:人民と、浦東疾病コントロールセンター伝染病予防科主任との通話

「いま、病棟が非常に逼迫している事実を伝えます。感染者隔離施設に空きはなく、120(※日本の119に相当)に電話しても救急車は足りません。これが現実なんです」

「どうしようもない」

「陽性であるとの通知を受けましたが、健康クラウド上での私は陰性表示です。12345番(市政ホットライン)にもクレームを入れました。一体どうなっているの?」

「現在、微博(ウェイボ)の上海市人民政府公式アカウントはコメント機能を閉じた」

 

4月2日:救援物資の引き取り手がなく途方に暮れる配達人

「早朝4時に上海へ着いたが、いま何時だ? せっかくの食料を腐らせるつもりか? 飲まず食わずだが、上海には売店もないのか。俺はボランティアだ。無償だ。なのに満足な衣食もない」

 

4月2日:宝山区大場鎮の人民が地元の役人に電話

「あんたはたぶん知らないだろう。浦東新区の人民が受け取った配給物資に、『宝山区人民政府』と印字されていたんです。それを知らされたわれわれ宝山区の住民がどんな気持ちになったか理解できますか?」

 

4月2日:医療支援スタッフに向かって謝意を叫ぶ人民

「ありがとう大白(ダァバイ)さんたち(※防護服を着た当局者は「大白」と呼ばれる)! 上海を助けてくれてありがとう!」

 

4月2日:宝山区顧村の住宅団地の人民たち。

「(騒然とする中)配給物資を寄越せ! 物資を寄越せ!」

 

4月3日:浦東新区の人民に愚痴をこぼす、ある居民委員会のトップ

「私だって政府に有効な政策を打ち出してほしいの。そうすれば住民たちに顔向けできる。でも現実には何もないのよ」

「わかります」

「本当になんにもないの。(嗚咽しながら)すっかり心身が疲弊しきっているわ」

 

4月6日:犬の散歩をする松江区の人民と、止めるよう促す公安警察

「誰のために止めろだと? 俺にも当然、家がある! あんたらは家があるのに外出しているが、俺は家があっても帰宅できないんだよ!」

 

4月6日:浦東新区の人民が強制隔離された後、残された飼い犬のコーギーを当局が撲殺

「殺さなければならないのかい? (鈍い殴打音が響き)うわぁぁぁ何てこと……」

 

4月6日:隣人に食料を贈る中年女性

「あたしらは同じ棟に住む友人じゃないか」

「おばさんありがとう」 

「あんたは故郷から遠く離れた上海まで出稼ぎに来て大変なんだから」

「おばさん、私はみんなに教えてあげなきゃ。上海人はよそ者にも親切だってことを」

「いいんだよ、別にそんなこと」

 

4月7日:閔行区の運転手に食料を届ける公安警察

「この漬物もたくさん食べて」

「食事を届けに来てくれました。上海の警察はとてもいい。数日ぶりのメシです」

 

4月7日:重病の父親を受け入れる病院が見つからない浦東新区の人民

「朝8時から120番に何度も電話し、家と外を行ったり来たりしているのですが、親父を受け入れてくれる病院は見つかりません。居民委員会(自治会に相当)は必ず入院先があると言ったけど、こんな状態です。誰も救おうとせず、誰も問題を解決しようとしてくれない。あなた方も皆、親から生まれた。なぜこんな仕打ちができるのですか」

 

4月7日:楊浦区で、消毒係が強制隔離中の人民にデリバリーされた食事を破棄

「いま消毒中なので、ごみとして捨てる」

「え、なんで? じゃあ隔離されているわれわれは何を食べればいいのですか」

「私が知るわけない。消毒中なので……」

 

4月8日:通院のため外出し、帰宅できなくなった徐匯区の人民と隣人

PCR検査のため病院に行き、そのあと化学療法の治療を受けていたのだけど……」

「居住棟が閉鎖されて自宅に戻れないわけ?」

「住宅団地の管理人が入れさせないのよ」

「ここに住んでいるのに帰れないなんて、馬鹿げた話だよ!」

「街道弁事処(居民委員会の上位行政単位)に訴えればいいじゃないか」

「そうだ、街道に言えよ」

 

4月8日:松江区九亭鎮のとある住宅団地

「(大勢がシュプレヒコールを上げ)物資を、配給しろ‼ 物資を、寄越せ‼」

 

4月8日:内装工事中に強制隔離された作業員へ食事を届ける人民

「本当はきのう届ける予定だったが、相互感染が怖くて誰も届けに来られなかった」

「うんうん」

「でも、あらためて考えると、ウイルスで人は死なないが、食わなければ餓死する」

 

4月8日:通院先から帰宅できない、虹口区の高齢者

「どうしろと? これじゃ病気でなくても気ばかり焦って死んでしまうよ」

 

4月8日:まだ建設中の「方艙医院(臨時医療施設)」に隔離された人民たち

「この建物にはまだ完成していない。入院したらまず毛布を確保しなくては。それとベッドもね」

「見てよ、ここ、まだ出来上がっていないじゃない」

「トイレはどこか教えてくれる?」

「知らない! あたしは大白じゃないわよ。あなたと同じで隔離されたの」

「ベッドすら用意できていない。しばらくは床に直接寝るしかないわね」

 

4月9日:配給食料が受け取れない奉賢区の人民と居民委員会との通話

「じゃあ配給はあるのですか?」

「配給されるかどうかは当局の通知を待って」

「待っていたら餓死するわ!」

 

4月10日:集合住宅の入口が封鎖された徐匯区の人民たち

「なんで外から鍵を掛けるの?」

「火事が起きたらどうするんだよ! 言えよ、火事になったらどうする!?」

 

4月12日早朝:高熱の子供のため、近隣を1戸ずつ訪ねて解熱剤を探す母親。救急車は300人待ち。居民委員会事務所にも薬はなし。

「息子が熱なんです。おばさん、いらっしゃいますか? すみません、どなたかいらっしゃいませんか? すみませーん……」

「協力したくないわけじゃないけど……」

 

4月13日:各戸のドアに封緘する作業を拒否する徐匯区のボランティア

「ボランティアとして引き受けかねる任務です。でないと明日から自分の仕事ができない。住民が封緘を破って外出したら、ボランティアなんか意味がなくなる」

 

4月13日:徐匯区の高齢者と居民委員会担当者との通話

「市のホットラインにも110(※公安警察)にも電話しました」

「ええ、事情はわかった。それで何か情況が変わりましたか?」

「いいえ、何も」

「私も彼らがどうして対応できないのか、何を考えているのかわからない。于(ユィ)先生、本当に無念だけど、いま私はあなたより傷ついている。あなたが見ているのは自分の家庭だけだが、私は無数の家庭の情況を見なければならないので」

「ああ、そうですな。あなたの言うことはとてもよくわかります」

「あなたが直面している苦境は書面で上へ報告済みだ。関係各所へ何度も電話した」

「ありがとうございます」

「申し訳ない于先生、役に立てなくて」

「あぁ……やれやれ」

 

体制・政権批判には向かわない人民

「どうして上海は、いつ終わるともわからないロックダウンに耐え忍び続けなければならないのか」。1ヵ月に及ぶロックダウンで、人民は疲労困憊だ。ただ、一部の海外メディアは、「人民と当局との対立が尖鋭化」「フラストレーションを募らせた人民の政権不信高まる」などと書き立てているが、そうではない。

 

 人民の不満は、物資の配送トラブル、無限に強制されるPCR検査、医療へのアクセス不可にある。怒りの矛先も、問題解決能力が低い地元の末端役人に向く(向けるように仕向けられる)だけで、習近平指導部に向かうことはないと言っていい。2020年の武漢ロックダウン後、湖北省武漢市それぞれの党書記(事実上の行政トップ)が更迭されたように、上海市の党書記や市長が処分されて幕引きとなるだろう。

 

「上海には克服しなければならない問題がまだまだ山積している。この街が一刻も早く正常に復することを祈っている」(Cary)(Text By Jun Tanaka)」